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『表参道のヤッコさん』 高橋靖子著 ::: 2013.01.21 Monday

評価:
高橋 靖子
アスペクト
¥ 1,470
(2006-02-17)

JUGEMテーマ:オススメの本

 私も表参道で仕事をはじめて早丸8年になろうとしています。この8年の間には、表参道ヒルズがオープンして一時的なバブルになったり、リーマンショックで空き地が駐車場になるなど、このあたり周辺の流れをつぶさに垣間見てきたように思います。また私自身、街を歩いていると患者さんに出くわしたりと、何となく自分もこの街の一員になってきたのかなと、よそよそしかったこの街に対しての感情も、開業してからの8年という月日の流れのなかで少しづつ親しみになってきたかなと感じます。

 本書はタイトル通り、この表参道という街を舞台にして活躍してきた女性のエッセイ集です。著者は、“スタイリスト”という仕事名ではじめて税務署に申請したという、スタイリストの元祖である高橋靖子さん。1970年代という、日本が一番勢いがあった高度経済成長時代、ファッション関連の仕事も急増していました。今でこそ表参道・原宿はファッションのメッカでありますが、1970年代のはじめはその前夜と言ったところ。その頃はフォトグラファー、デザイナー、ミュージシャンなど、若い才能がこぞってこの表参道・原宿という街に事務所を持ち、集い、夢を語り合いながらお互い刺激をしあって成長していたそうです。

 本書はその1970年代を多彩な才能とともに過ごした、多感な一人の女性から見たエッセイ集。表参道・原宿という街を中心にした回顧録。様々な才能と時代の勢いが重なる中で、スタイリストという新しい仕事を築き上げていく姿。上手に時代を泳ぐと言うよりは、時代の周りでわーきゃー言いながらも、時々切なくなるような、不器用なところも合わせ持った素直な等身大の自分とその時代の距離感。その微妙な距離感に触れると、今を生きている自分へも何かを思い出させてくれます。

 1970年代の青春を振り返る姿から、元気な頃の日本を知ることができ、読んでいる方も元気が出てきます。文章も軽快で、そしてどこかピュアな感じが伝わってきます。時代を感じるモノクロの写真と、2ページ読みきりのスピード感も素敵な一冊。



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